毎年この時期になると同じようなことを言っていますが、光陰矢のごとしとは本当にうまいことを言ったもので、ついこの間新しい年を迎えたと思っていたのに今日からはもう12月、今年最後の月となってしまいました。今年もまたやり残したことがいっぱいあるような気がしますが、気が焦るばっかりでなかなかそれらを消化できないまま毎日を無為に過ごしているような気がしてなりません。年末といえば何だかんだ言ってもやはり今でも国民的イベントといえる大晦日恒例のNHK紅白歌合戦、今年最もスポットが当たっているのは植村花菜という歌手が歌っている『トイレの神様』という曲なんだそうです。先日、9分52秒という長いバラード調のその歌を聴く機会がありましたが、歌詞の内容はトイレを綺麗に掃除する娘はべっぴんさんになれると祖母に言われ育った女の子がその祖母を見送るというもので、これを聴いていて思い出したのですが、昔、加賀温泉の名高い老舗旅館の娘さんが同じ加賀温泉のこれまた実家に負けないくらいの老舗旅館の若女将として嫁ぐに際し、祖母で厳格な明治女である大女将から、〝嫁いだその日から毎日便所を素手で洗いなさい。一番汚れやすいところを一番きれいにすることで心が洗われ、お客さまを真心でお迎えしようという素直な気持ちになれるから〟との餞(はなむけ)のことばを貰い今でもそれを実践しているという話を、その時はもう中年期を迎えていたご本人から聞いたことがあります。そういう、日本人がとっくの昔に忘れ去ってしまっていたと思っていた心が、この平成の時代の少女にも祖母から孫へきちんと受け継がれているんだと思うと、この慌ただしく殺風景な年末、何かしらホッとした嬉しい気分にさせられます。
代表取締役社長 塩 谷 雄 一